慣れていない場所へ出ることで見えるもの
変化することが人生だとすれば、ときどき自分が慣れていない場所へ身を置いた方がいいのではないかと思います。
慣れている場所は楽です。何をすればいいのかも分かっているし、どのくらいの力を使えば一日が終わるのかも分かっています。
それは決して悪いことではありません。何かを長く続けるには、慣れることも必要です。
安心して暮らせることは、人によっては何より大切なことだったりします。
しかし、慣れてしまった場所だけにいると、自分のやり方そのものを問い直す機会も少なくなります。
私にとって、ChatGPTを使い始めたことは、まさに慣れていない場所へ入っていくことでした。
初めて触るAIですから、当然、何ができるのか分かりません。
そこで私は、分からないことを質問して答えをもらうだけではなく、
「この道具を使えば、自分の仕事そのものをどう変えられるのだろう」
と考えるようになりました。
そして、プロジェクトを一つ立ち上げ、その完成までをChatGPTにフォローしてもらうという使い方を始めました。
質問をして、答えをもらう。そういう使い方ももちろんします。
しかし、それだけではなく、仕事のパートナーとして徹底的に仕事の内容を共有し、ChatGPT自体が一つのシステムになるまで組み合わせて使う。
私は、そんな使い方を考えるようになりました。
探索は広く、蓄積は一点に
私は当時、こんな使い方をしている人がほかにもいるのだろうかと思い、ChatGPTそのものに尋ねたことさえありました。
それくらい、私にとっては手探りだったのです。
しかし、大きな目的だけは最初から動いていませんでした。
ChatGPTの新しい機能を試すことそのものが目的ではありません。
一つのプロジェクトを完成させること。
有能な人なら、一人で器用にそれをこなせるのかもしれません。
しかし、私は不器用なので、一人ではすべてをこなせません。
そのためにChatGPTに何ができるのかを考えることが目的でした。
自分が苦手なところ、自分一人では時間がかかるところ、自分では整理しにくいところを、AIにどう補完してもらうか。
それを試していきました。
だから、新しいことはどんどん試しますが、成果を集積する場所まで毎回変えるわけではありません。
探索する範囲は広くてもいい。
しかし、そこで見つけたものを積み上げる場所は一つにする。
「探索は広く、蓄積は一点に」
というやり方です。
変化することと、積み上げることは、反対ではなかったのです。
一日の仕事が具体的になってきた
ChatGPTを使うようになって、私は仕事の数そのものが変わったように感じています。
しかし、今振り返ると、もっと大きく変わったことがあります。
それは、今日一日に何をするのかが具体的になってきたことです。
以前は、文章を書こうとしても、まず「何を書くのか」という最初のところで詰まることがありました。
そこで止まってしまうと、今日一日で何ができるのかも分かりません。
今日できることが分からなければ、一週間でどこまで進むのかも、一か月で何が完成するのかも分かりません。
大きな目標を持っていても、そこまでの距離を測ることができなかったのです。
それが私にとっては当たり前でした。
ところが、仕事をプロジェクトとして分解し、ChatGPTと一緒に一つずつ作業を具体化していくと、
「今日はこれをする」
という一日の単位が見えるようになってきました。
ここで初めて、仕事に計算が立つようになったのです。
今日が具体的になると、未来までの距離が見える
これは私にとって大きな変化でした。
一日にできることが分かれば、それを一週間続けたときにどこまで進むのかが分かります。
さらに、それを一か月続ければ何ができるのかも、おおよそ計算できます。
未来が突然見えるようになったわけではありません。
未来を予言できるようになったわけでもありません。
今日という一日が具体的になったから、未来までの距離を計算できるようになったのです。
たとえば大きな目標だけを見ていると、あまりにも遠く感じることがあります。
しかし、その目標を一日の作業単位まで小さくすることができれば、話は変わります。
今日これだけ進める。
明日も同じくらい進める。
もちろん体調や予定によって進まない日もあります。
それでも、一日の標準的な作業量が分かっていれば、どのくらいの期間が必要なのかを考えることができます。
大きな目標が小さくなったのではありません。
大きな目標と今日一日の間に、道筋ができたのです。
人生を変えるなら、まず今日を具体的にする
慣れていない場所へ行く意味は、単に緊張することでも、自分を苦しめることでもないと思います。
今までのやり方では通用しないものに触れることで、自分の仕事の方法そのものを作り直す機会が生まれる。
私の場合、それがAIでした。
AIに触れたことで、自分の弱いところも見えてきました。
しかし、その弱さをすべて自分一人で克服する必要はありません。
自分ができることとAIが補完できることを組み合わせ、一つのプロジェクトを完成させればいい。
そして、新しい方法をいくら試しても、成果を集積する場所は動かさない。
探索は広く、蓄積は一点にする。
そうしているうちに、一日の仕事が具体的になってきました。
一日が具体的になれば、一週間が見えてくる。
一週間が見えてくれば、その先も計算できるようになります。
人生を変えるというと、大きな決断をしなければならないように感じます。
しかし、本当に必要なのは、もっと小さなことなのかもしれません。
今日、自分は何をするのか。
それを具体的な一単位にできれば、積み重ねた先に何ができるのかも見えてきます。
未来を先に見通すのではなく、今日を具体的にすることで未来までの距離を測る。
私はAIを使いながら、ようやくそのことが分かってきました。
