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こんにちは！みんな寒さに負けないように、高垣です。
この記事を読んで頂きありがとうございます。
今日は
『「天山遯」-退くことの智慧を教える卦の基本解説』
について私なりの見解を書いてみたいと思います。
目次
天山遯の基本的な卦の性質
天山遯の卦は、「退却」「隠遁」「身を引く」ことの知恵を表す卦です。無理に前進するのではなく、適切なタイミングで身を引くことが、より大きな成功につながることを教えています。
天山遯（てんざんとん）は、易経六十四卦の第三十三番目の卦です。上卦が乾（けん・天）、下卦が艮（ごん・山）で構成されています。「遯」という字は「のがれる」「しりぞく」「隠れる」という意味を持ち、積極的な退却や戦略的な後退を表しています。
この卦は、天高く山がそびえ立つ風景を表しています。山は地上から天に向かって高く伸びていますが、天の高さには及びません。この状況が、現実の限界を理解し、適切な距離を保つことの重要性を示しています。
天山遯の卦が出た時は、無理に押し進めるのではなく、一歩下がって状況を客観視することが求められています。これは敗北や諦めを意味するのではなく、より良い機会を待つための戦略的な退却です。時には身を引くことが、長期的な成功への最良の道となることを教えています。
この卦は特に、人間関係のトラブル、仕事上の困難、健康問題などにおいて、無理をせずに適切な距離を保つことの重要性を示しています。また、精神的な成長のために、世俗から離れて内省する時期の到来を表すこともあります。
天山遯の卦の象徴的意味と構造
天山遯の卦の構造を詳しく見てみましょう。上卦の乾（天）は、創造性、力強さ、リーダーシップ、父を表します。下卦の艮（ごん・山）は、静止、停止、内省、少男を表します。
この組み合わせは、天の無限の力と山の静寂な強さが対比されている状態を示しています。天は動的で創造的な力を持ちますが、山は静的で不動の力を持ちます。この対照的な性質が、行動と静止、前進と後退のバランスの重要性を教えています。
乾（父）が上にあり、艮（少男）が下にある構造は、経験豊富な指導者と若い学習者の関係を象徴しています。若い世代は、時として経験豊富な世代から学ぶために、一歩下がって謙虚になることが必要です。
また、この卦は時間の概念とも深く関わっています。天は永遠を表し、山は長い時間をかけて形成されたものを表します。両者が組み合わさることで、長期的な視点で物事を判断することの重要性を示しています。
天山遯は、陽の力が次第に減少し、陰の力が増してくる時期を表しています。これは自然の摂理であり、抵抗するよりも受け入れることが賢明であることを教えています。
卦辞に学ぶ雷風恒――持続と安定がもたらす人生の力
天山遯の卦辞は「遯。亨。小利貞」です。これを現代語に訳すと「退却する。通じる。小さなことには正しくあることが利益となる」となります。
「遯」は退却、隠遁という意味です。この卦が出た時は、積極的に前進するのではなく、適切なタイミングで身を引くことが重要であることを示しています。これは単なる逃避ではなく、戦略的な後退であり、より良い機会を待つための準備期間でもあります。
「亨」は通じる、うまくいくという意味です。適切な退却は、最終的に良い結果をもたらすことを表しています。無理に状況を変えようとするよりも、自然の流れに従うことで、物事がスムーズに進展します。
「小利貞」は小さなことには正しくあることが利益となるという意味です。この卦では、大きな変化や劇的な行動よりも、日常的な小さな正しい行いを継続することが重要であることを教えています。派手な成功を求めるのではなく、地道で誠実な行動を続けることが、長期的な成功につながります。
この卦辞は、現代社会においても非常に重要な教えを含んでいます。競争が激しく、常に前進を求められる現代において、時には立ち止まり、身を引くことの勇気と知恵が必要です。適切な退却は、次の飛躍のための準備期間となります。
象辞の深意――雷と風が示す「恒常性」と自然のリズム
天山遯の象辞は「天下有山、遯。君子以遠小人、不悪而厳」です。これは「天の下に山があるのが遯である。君子は小人を遠ざけ、憎まずして厳しくする」という意味です。
「天下有山」は、天の下に山がある自然の風景を表しています。山は天に向かって高く伸びていますが、天の高さには決して届きません。この状況が、現実の限界を理解し、無理をしないことの重要性を示しています。
「君子以遠小人」の「遠小人」は、小人（道徳的に劣る人）を遠ざけるという意味です。君子、つまり徳のある人は、悪い影響を与える人々との関係を適切に距離を置きます。これは差別や排除ではなく、自分の品格を保つための必要な措置です。
「不悪而厳」は、憎まずして厳しくするという意味です。小人を遠ざける際も、感情的に憎んだり怒ったりするのではなく、冷静で毅然とした態度を保ちます。個人的な感情に流されることなく、原則に基づいて行動することが重要です。
この象辞は、現代の人間関係においても非常に重要な教えを含んでいます。職場や社会生活において、ネガティブな影響を与える人々との関係をどのように処理するかは、大きな課題です。感情的になることなく、適切な距離を保つことが、自分自身の成長と安定につながります。
六爻の段階的解説――雷風恒が描く人間の成長プロセス
天山遯の卦の六爻それぞれについて、その意味と現代生活への応用を詳しく解説します。
初六：遯尾、厲、勿用有攸往
しっぽを退かせるのは危険であり、行くところがあっても用いてはならないという意味です。最初の段階では、退却のタイミングが遅すぎる状況を表しています。すでに危険な状況に巻き込まれており、さらなる行動は状況を悪化させる可能性があります。
この段階では、積極的な行動よりも、現状を維持し、安全を確保することが最優先です。人間関係においては、トラブルの兆候を見逃し、手遅れになる前に対処することの重要性を示しています。
六二：執之用黄牛之革、莫之勝説
黄色い牛の革でしっかりと結んで、解くことができないという意味です。この段階では、強い意志と決意を持って退却の方針を貫くことが重要です。周囲からの誘惑や圧力に負けることなく、自分の判断を信じて行動します。
恋愛関係においては、相手からの甘い言葉に惑わされず、関係を終わらせる決意を固めることを表しています。仕事においては、転職や退職の決意を周囲の反対に屈することなく実行することを意味します。
九三：係遯、有疾厲、畜臣妾吉
つながりがある退却は病気のように危険だが、臣や妾を養うには吉という意味です。この段階では、完全に身を引くことができない状況を表しています。家族や部下など、責任を持つべき人々がいるため、完全な退却は困難です。
しかし、彼らを適切にケアしながら、段階的に距離を置くことは可能です。管理職の人が退職する際に、部下の将来を考慮して引き継ぎを丁寧に行うことなどが該当します。
九四：好遯、君子吉、小人否
良い退却は、君子には吉だが、小人には良くないという意味です。この段階では、適切なタイミングでの退却ができる状況を表しています。徳のある人は、この機会を活用して次のステップへ進むことができますが、道徳的に劣る人は、この状況を活かすことができません。
転職や転居などの人生の転機において、準備ができている人は成功しますが、準備不足の人は失敗する可能性が高いことを示しています。
九五：嘉遯、貞吉
美しい退却は、正しくして吉という意味です。この段階では、理想的な退却ができる状況を表しています。周囲からも理解され、祝福される形での退却が可能です。定年退職を迎える人が、長年の功績を認められ、後進に道を譲る美しい引退などが該当します。恋愛関係においても、お互いの成長のために別れを選択し、友好的な関係を維持することができます。
上九：肥遯、無不利
豊かな退却は、利益のないことがないという意味です。最終段階では、退却によってあらゆる面で利益を得ることができます。物質的な豊かさだけでなく、精神的な充実も得られます。早期退職によって自分の時間を確保し、趣味や家族との時間を充実させることや、ストレスの多い環境から離れることで健康を取り戻すことなどが該当します。
実占で天山遯が出たらどう読む？三つの解釈ポイント
天山遯の卦を実際の占いで活用する際の、三つの読み方を詳しく解説します。
本卦を読む（問いの性質と現状）
本卦である天山遯は、現在の状況が退却や距離を置くことに焦点が当たっていることを示しています。無理に前進したり、現状を変えようとしたりするよりも、一歩下がって状況を客観視することが重要な時期です。
現状では、直接的な対立や競争よりも、戦略的な後退や適切な距離の確保が求められています。人間関係においては、問題のある関係から身を引くことや、職場では無理な案件から手を引くことなどが考えられます。
問いの性質としては、人間関係のトラブル、仕事上の困難、健康問題、経済的な問題など、困難な状況からの脱出に関する相談が考えられます。この卦が出た時は、勇気を持って身を引くことが、長期的な成功への道となります。
また、この卦は内省や精神的な成長の時期を示すこともあります。外的な活動よりも、内面的な充実や学習に時間を費やすことが適切な時期です。
変爻を見る（何がどのように変わるのか）
変爻がある場合、その爻の意味を詳しく検討することで、何がどのように変化するかを理解できます。
例えば、六二が変爻の場合、優柔不断な態度から、強い決意を持った行動へと変化することを示しています。退却の決断を固め、周囲の圧力に屈することなく自分の道を進むことができるようになります。
九四が変爻の場合、困難な状況から、適切なタイミングでの退却が可能な状況へと変化することを示しています。準備が整い、周囲の理解も得られる形での退却ができるようになります。
九五が変爻の場合、単なる退却から、周囲に祝福される美しい退却へと変化することを示しています。自分の決断が周囲からも評価され、次のステップへの準備が整います。
変爻の位置や性質によって、変化の内容や方向性が異なりますが、共通して言えることは、より適切で効果的な退却戦略へと発展していくことです。
之卦を読む（変化後の未来・行き先）
之卦は、変化後の未来の状況を表しています。天山遯から変化する之卦によって、退却後の展望が見えてきます。
例えば、風天小畜に変化する場合、退却によって小さな蓄積や準備の時期に入ることを示しています。一時的に活動を控えることで、次の機会に向けて力を蓄えることができます。
火天大有に変化する場合、適切な退却によって、最終的に大きな成功を収めることができることを示しています。一時的な後退が、より大きな前進への準備となります。
沢天夬に変化する場合、退却によって決断力が身につき、将来的に重要な決断を下すことができるようになることを示しています。
之卦を読むことで、現在の退却がどのような未来につながるかを理解し、より効果的な退却戦略を立てることができます。
天山遯の卦ー退くことの智慧を示す卦の基本解説のまとめ
天山遯の卦は、適切な退却の智恵を教える重要な卦です。天の高さと山の高さの違いを理解し、現実的な限界を受け入れることで、より効果的な戦略を立てることができます。
この卦が出た時は、無理に前進するよりも、戦略的に後退することが長期的な成功につながります。職場、人間関係、健康、投資、家庭など、あらゆる分野において、適切な距離を保つことが重要です。
卦辞が教えるように、小さな正しい行いを継続することが、大きな成功の基盤となります。象辞の教えにあるように、悪い影響を与える要素から距離を置きながらも、感情的にならず毅然とした態度を保つことが重要です。
六爻の教えを参考にして、退却の段階や状況に応じた適切な対応を選択しましょう。実占における五つの読み方を活用することで、より深く状況を理解し、効果的な退却戦略を立てることができます。
現代社会では、常に前進や成長が求められがちですが、天山遯の卦は、時として身を引くことの価値と必要性を教えてくれます。適切な退却は敗北ではなく、より大きな成功への準備期間であることを理解し、勇気を持って賢明な選択をしていきましょう。
天山遯の卦は、無理な状況で戦い続けるよりも、適切なタイミングで身を引く勇気と智恵の重要性を教えています。戦略的な退却は、次の飛躍への準備であり、真の強さの表れなのです。
それでは、いかがでしたか？
「天山遯」-退くことの智慧を教える卦の基本解説
についてのまとました。
にぜひご参考にしてみて下さい。
